#73 そして真実が明るみになった日 2021.1.21 ⑤

太郎くんは不思議そうに夕日を見つめてたね!

 先生は、エコーを見せてくれた。
 白くて楕円状のものがあった。でも、そこはどこだかわからなかった。

「ここは胃です」

「え? 胃??」

 思考と言葉が同時だった。

「そう、胃に大きな腫瘍があって、これがCRPがずっと高かった原因です」

「腎臓じゃないんですね?」

「違いますね」

 先生は即答だった。血液検査の結果を示した。
 その用紙はカラフルで、検査項目も多かった。

「腎臓病だとBUNが100超え当たり前、CREも10くらいあったりします。もっとひどい数値です」

 ボールペンでぐるぐると囲った。

「確かに悪いっちゃ悪いけど、大したことない。これで元気に生活しているわんちゃんいっぱいいますから」

「それより、貧血がひどいんです。こっちより、こっちが悪い方が問題なんです」

 血液検査の上段、”血球”の枠を指した。

 カラフルなのは悪い証拠だとやっと理解した。基準値より大きいと”赤”、下だと”青”で塗りつぶされている。つまり、元気なわんちゃんは真っ白なのだ。
 太郎くんの”血球”は、白血球の”赤”以外は全て”青”だった。

「ここが、20を切るのはまずいんです。食欲がなくなります」

 それはヘマトクリット(HCT(Htの場合もあり)だった。ホームドクターでそのような説明は聞いたことがなかった。ホームドクターの病院で5日前の1月16日にやっと貧血だと認識してくれた時には、ピンクのマーカーは引いてあったけれど。(私は、1月4日から貧血を訴えていた!)


 遡ってみた。すでに最初に血液検査した12月18日の時点で、35.5%(画像、ブルーのマーカー部分)しかなかった。正常値(40-55)をすでに下回っていたのだ。

 セカンドオピニオンの先生の説明は続く。
 若いだけあってわかりやすく親しみやすく、それでいて飾りっ気のない表現が、ストレートに伝わってきた。

 想定外、予想外、思いも寄らない、青天の霹靂……そんな言葉がぴったりの状況だった。でも、頭が真っ白にはならなかった。それは太郎くんの現状をしっかり聞いておきたい、原因を知りたい、救いがあるならその方法をしっかり聞きたい。それらの気持ちが自分自身をしっかりと支えていた。

 諦めたくないからここに来た。

 それはセカンドオピニオンの先生には、自分から言わなくても伝わっていた。

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