先生は、エコーを見せてくれた。
白くて楕円状のものがあった。でも、そこはどこだかわからなかった。
「ここは胃です」
「え? 胃??」
思考と言葉が同時だった。
「そう、胃に大きな腫瘍があって、これがCRPがずっと高かった原因です」
「腎臓じゃないんですね?」
「違いますね」
先生は即答だった。血液検査の結果を示した。
その用紙はカラフルで、検査項目も多かった。
「腎臓病だとBUNが100超え当たり前、CREも10くらいあったりします。もっとひどい数値です」
ボールペンでぐるぐると囲った。
「確かに悪いっちゃ悪いけど、大したことない。これで元気に生活しているわんちゃんいっぱいいますから」
「それより、貧血がひどいんです。こっちより、こっちが悪い方が問題なんです」
血液検査の上段、”血球”の枠を指した。
カラフルなのは悪い証拠だとやっと理解した。基準値より大きいと”赤”、下だと”青”で塗りつぶされている。つまり、元気なわんちゃんは真っ白なのだ。
太郎くんの”血球”は、白血球の”赤”以外は全て”青”だった。
「ここが、20を切るのはまずいんです。食欲がなくなります」
それはヘマトクリット(HCT(Htの場合もあり)だった。ホームドクターでそのような説明は聞いたことがなかった。ホームドクターの病院で5日前の1月16日にやっと貧血だと認識してくれた時には、ピンクのマーカーは引いてあったけれど。(私は、1月4日から貧血を訴えていた!)
遡ってみた。すでに最初に血液検査した12月18日の時点で、35.5%(画像、ブルーのマーカー部分)しかなかった。正常値(40-55)をすでに下回っていたのだ。
セカンドオピニオンの先生の説明は続く。
若いだけあってわかりやすく親しみやすく、それでいて飾りっ気のない表現が、ストレートに伝わってきた。
想定外、予想外、思いも寄らない、青天の霹靂……そんな言葉がぴったりの状況だった。でも、頭が真っ白にはならなかった。それは太郎くんの現状をしっかり聞いておきたい、原因を知りたい、救いがあるならその方法をしっかり聞きたい。それらの気持ちが自分自身をしっかりと支えていた。
諦めたくないからここに来た。
それはセカンドオピニオンの先生には、自分から言わなくても伝わっていた。
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