父の怒号は悲痛な叫びだった。
太郎くんは、歩こうとすると後ろ足がもつれ、ぐしゃっと倒れた。立つことすらできなかった。だから、父が太郎くんを支えておしっこをしたのだと。
そればかりでない。帰ってきてからの太郎くんは、呼吸が荒くなった。
そして、水を飲みたがるけれど歩けない。支えないとぐにゃっと倒れてしまう。
でも諦めるわけにはいかない。
私は、夜も強制給餌をした。少しでもいい、昨日のお薬をあげた
夜には、後ろ足が動かなくなった。特に右。
私のせいだ。
私がセカンドオピニオンに行ったから。太郎くんのわずかな体力を奪ってしまった。私は太郎くんを救うどころか死期を早めてしまった。
この当たり前の光景が消えてしまうのだろうか……
太郎くんの後ろ足がもつれ、立てなくなった。もうフラフラだ。
呼吸も荒い。寝返りをうつのも一苦労。昨日のセカンドオピニオンの疲れだ。行かなきゃよかった。バカだ私! こんなことなら行かずに、太郎くんに負担をかけないまま、私だけ“やはりセカンドオピニオンに行けばよかった”と密かに後悔していればよかったんだ。 こんな絶望的な結果を知らされ、何の希望も持てないと思うなら、真実なんか知らずに勝手に想像した希望を抱いていればよかった。家族全員、こんな残酷な真実を知って、無理に明るくなんて無理だ。
今、ここに、隣に太郎くんはいる。 生きてる! 幸せなんだ!
なのになんで悲しい、つらいばかりなんだろう。無理にご飯を食べさせて、太郎くんのためになっているの?
苦しんで欲しくない。でもまだそばにいて欲しい。 私の勝手なエゴとわがままかもしれないけれど、まだ早いもの!!
どうして15才まで生きるわんちゃんが多いのに、どうして太郎くんができないの。つらい思いはさせたくないけど、まだお家にいてよ! 病とうまく付き合って行こうよ!
お願いだから、誤診であったり、実は良性だってことはないの!? 進行が遅く炎症が治ればいつも通りの元気な太郎くんにはなれないの?
お兄ちゃんたち! どうかお願い。弟を助けて!!
明日は歩けるようになって欲しい。小康状態になって、いつも通りの年相応の人生が送れるように。 覚悟もしなきゃならない結果だとわかっているけど、どうか奇跡を信じさせて!それが起こることを信じさせて!
こんなに可愛くってふわふわで、時には偉そうで、素直でヤンチャで……太郎くんがいない生活なんて考えられない。
早く落ち着いて、いつも通り2階で一緒に寝るんだからね!
絶対に治るんだからね!!
2021.1.22 太郎くんの闘病日記より
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