セカンドオピニオンの先生は、血液検査の裏に描いた図の隣に、フローチャートを書き始めた。
これまたデキる家庭教師そのものだった。
1.について補足。アドレスタン半量とは?
クッシング症候群=副腎皮質機能亢進症=ステロイドが過剰に出ている状態。つまり、ステロイドを抑える薬を半分に減らし、ある程度のステロイドを抗がん剤として利用することを先生は提案。
そして、今できることを具体的に提示してくれた。
先生は1.について下記の薬を、まずは一週間分処方してくださった。
【抗生剤】1日2回
・ファロム
・ミノサイクリン
【鉄剤】1日1回
・フェログラデュメッド
【サプリメント】1日2回
・エネアラ
※アドレスタンはホームドクターから処方済み。
この病院のすごいところは、全部の薬を粉末にしてくれ、1回分を1包ずつに袋詰めにしてくれる。よって、これらの薬の1回あたりの分量は不明なのだが、体重や症状にあった適量を処方してくれた。
そして、先生は付け加えた。
「3.については費用の面が最大のハードルなので、それはまた貧血が良くなってからでいいと思います。まずは貧血を治すことに専念しましょう」
さらに、経鼻カテーテルについて詳しく説明してくださった。
「今、やりますか?」
先生は突然口にした。私は経鼻カテーテル自体が初耳で、”太郎くんに管を通す”ということが受け入れらなかった。
「少し考えさせてください」
私は答えた。それに、これをしたらホームドクターのところには行けないなと思ったのだ。
「やりたいと思ったら、いつでも来てください。すぐやりますから」
熱心さと若さを感じた一方、太郎くんには時間がないのだと痛切に感じた。一分一秒でも早く栄養を注がないといけないのだなと。
今思う。
経鼻カテーテルをしていれば、早く回復できたかもしれない。ここにいたかもしれない。
太郎くんはエリザベスカラーを嫌がることはなかった。小さい頃に皮膚炎がひどく毎日装着していたので、そのまま普通に遊んだり寝たりしていた。だからその心配はなかったのに、私はシリンジでの強制給餌をまずは頑張ろうと思った。なるべくありのままでいたい、管を通したくないと。そして、ホームドクターのところへ行けなくなるのもどうかと悩み即決できなかった。
以下、今思っている考えです。
私は結局、経鼻カテーテルを選択しなかったのであくまでも推測に過ぎませんが、経鼻カテーテルはシリンジでの強制給餌より断然楽だと思います。
家族の誰でも、定期的に、わんちゃんも嫌がることなく、一定の栄養補給ができるから。
そのストレスはシリンジの強制給餌に比べて天と地の差だと思うから。
胃まで必要な栄養分が届くことは、シリンジでの強制給餌では全く不可能でした。おそらく2割程度しか入っていなかったのではと思います。そして何よりシリンジでの強制給餌は結局、私しかできなかった。父も母もできませんでした。
でも、カテーテルなら、管にリキッドを流すだけ。家族全員の力で少しずつ、愛犬に気づかれることもなく行うことができることが最大のメリットです。
実際された方からすれば、管が詰まりやすい、抜けやすいなど、それなりの困難はあるはずです。
しかしセカンドオピニオンの先生はそれを差し引いてもシリンジの強制給餌より、遥かに断然楽だと力説、おすすめしていました。
私は一つ疑問に思った。
どうしてホームドクターは経鼻カテーテルを提案してくれなかったのだろう。
父と私は散々、太郎くんが食べないことをずっとずっと相談していた。他に方法はないのかと。強制給餌だって、最初に教えて欲しかった。どうして教えてくれなかったのだろう。
それは時間がかかるから? 無駄だから?
ホームドクターは獣医師ではなく経営者なのだと改めて感じた。
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