母の退院前日の午後、気になることがあった。
気のせいかと思うくらいほんの一瞬、だけど強烈で生臭い魚のニオイがした。それが太郎くんからなのか、自分なのかわからなかった。
2代目太郎くんは肝臓ガンで14才半で亡くなった。その亡くなる数日前の生臭いニオイと似ていた。
でも、まさか。
この頃の太郎くんは、たまに吐いていたけどそれは黄色い胃液、耳垢も黒いけど、12才で元気。ガンなんてあるわけがない。内臓は元気だ。膀胱結石の術後も良好なのだから。それに手術前の血液検査は近年で一番いい数値だった。
でも念には念を。太郎くんの口、息、全身嗅いでみた。何度やっても、生臭い魚のニオイはしなかった。太郎くんは「お姉ちゃん、やめてよ」と大きな目が語っていた。
やっぱり気のせいだ。私かもしれない。
でも今はわかる。
あれは太郎くんからで、完全なるサインだった。
さらに、母が退院した翌日。
「お腹ぽっこり? 気のせい?」、このメモ書きは何だったのだろう。


今にして思えば、どこか内臓が腫れていたのかもしれない。
まだある。その2日後。
「頭てっぺんにイボ」のメモ。

わかりにくいが、分け目にぽつんとピンクのイボができていた。別に痛くも痒くもなさそうだった。

そして、一向によくならない黒い耳垢。耳ダニか。毎日掃除しても治らない。
明日は、太郎くんの病院とカットの日だ。先生に耳を診てもらおう。そして、きれいにカットしてもらおう。
愚鈍な私は、最悪なタイミングを導いた。
この翌日を”運命の日”にさせた。
序章 終
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