第一章 #25 お家に帰りたいよ…… 2020.12.19 ③ いやだよ こわいよ 行かないで お父たん、お姉ちゃん、お願いだよ ぼくどうなっちゃうの? ぼくのからだ、どうしちゃったの? だるいし、気持ちわるいし、苦しいよ 大好きなおやつも食べたくないし、 ごはんなんかゼッタイ食べたくない! 大好き... 2021.11.07 第一章
第一章 #24 そして4日ぶりにごはんを食べた日! 2020.12.19 ② 太郎くんがいない家に着いた。空家みたいだ。 留守番をしていた母が、 「今度は太郎くんが入院なんて。どうして……」 太郎くんが体調を崩してから、家族全員ほぼ寝れない日が続いた。寝れないけれど身体は疲れている。私は泣きながらベッドに横たわった... 2021.11.06 第一章
第一章 #21 血液検査をした日 2020.12.18 ① 昨晩と同じ、深夜1時。 太郎くんがそわそわし始めた。この日も私は心配で寝れなかった。太郎くんの変化に敏感になっていた。 太郎くんは、もよおしてきたのだろう。私は、昨日と同じものを吐くんじゃないかと怯えていた。そんな私に太郎くんは訴える。... 2021.11.02 第一章
第一章 #19 母と太郎くんだけの日 2020.12.16 今日は母が退院してから初めての出社だった。 コロナ禍前のタイムスケジュールで過ごすわが家となった。 太郎くんは久しぶりに1時間ほど早い起床時間となったが、カットで疲れているのかベッドで寝たままだった。カットの翌日はいつもこんな感じだ。 ... 2021.10.30 第一章
第一章 #18 運命の日 2020.12.15 第一章 2020年12月15日。運命の日。 太郎くんの病院とカットの日だった。 この日に戻りたい。 残された家族全員が思っていること。 この日に起きたことの一つでも違う選択をしていたのなら…… 太郎くんは今もここにいたはず。そう思う... 2021.10.29 第一章
序章 #17 完全なるサインと最悪なタイミング 母の退院前日の午後、気になることがあった。 気のせいかと思うくらいほんの一瞬、だけど強烈で生臭い魚のニオイがした。それが太郎くんからなのか、自分なのかわからなかった。 2代目太郎くんは肝臓ガンで14才半で亡くなった。その亡くなる数日前の生臭... 2021.10.28 序章
序章 #16 だれ? 変なおばさんがいる 急にぼくの家にやってきた。 さっきはレバーのニオイにつられて、近寄ってしまったけど。 このおばさんはだれだ? だれ? だれなんだろう…… ぼくのかすかな遠い記憶…… 知っている人のような気もするんだけど、 このニオイ、ぼくは知らない。... 2021.10.27 序章
序章 #14 な、なんだ!? みんな変だよ! な、なんだ!? なにしてるんだよ!!!??? 朝起きてリビングへ来たら、仕事から帰って来たお父たんが、ダンボールにお母たんの本を箱づめしていたんだ。 それを見て、お姉ちゃんが、 「余計なことしないでよ!」 バトルが始まった。 「勝手に... 2021.10.25 序章
序章 #13 母の退院が決まった 2020年12月になった。母が入院して3週間経った。 あらゆる検査の結果、主治医から「グラム陰性桿菌敗血症」との診断が下された。母は肝膿瘍により敗血症を引き起こし、高熱によるショック状態で救急搬送された。しかし、その原因となる菌を特定する... 2021.10.23 序章
序章 #12 ぼくの大好きな場所 今日は、ぼくの大好きな場所を教えるよ。 それは、一階リビングにある、長いソファーの左側なんだ! このソファの後ろには、お母たんの本がいっぱい! ここにバスタオルや毛布が敷かれたぼくのベッドが置かれる。そこに横たわり、ぼくは、ひじかけにア... 2021.10.22 序章