#13 母の退院が決まった

 2020年12月になった。母が入院して3週間経った。

 あらゆる検査の結果、主治医から「グラム陰性桿菌敗血症」との診断が下された。母は肝膿瘍により敗血症を引き起こし、高熱によるショック状態で救急搬送された。しかし、その原因となる菌を特定することは難しいという。 素人には、菌が特定されているような病名だけど、細菌のうちグラム染色法で染色されないものはみんな「グラム陰性桿菌」だという。母の行動や食生活のヒアリングもされたが、結局わからずじまい。
 私が思い当たるのは、柿の食べ過ぎ、ミックスナッツの食べ過ぎ、アメリカの謎のサプリ、日にちが経った寒天、その辺りが怪しいとは思っているが、母は「偏食の女王」いう異名をつけたいくらい偏食なので、今まで病気にならなかった方が不思議なくらいだった。だから、なるべくしてなったという気はしていたが、年齢による不眠も続いてたので、相当免疫力が低下していたのだと思う。肝膿瘍を引き起こした菌も普通なら何でもない菌だったのかもしれない。明かに死にいたらしめる菌の特定は簡単だけど、それ以外の特定は個人差とその健康状態によるから余計に難しいようだ。
 よって、菌の特定はせずに、あらゆる抗生物質を試しては、ほぼ毎日血液検査を行い、炎症数値を示すC R Pの変化で、効果的な抗生物質を探っていた。

 それが、やっと適合した。

 救急搬送時、32あったCRP(炎症タンパク質)が、やっと10台になった! ま、それでも高いのだけど。
 そして退院の話が出た。これ以上、抗生物質を投与し続けることは、他の臓器に悪影響を及ぼすので、外来で内服薬での治療に変えましょうとのこと。母は喜んだ!

 病院に飾られていたクリスマスツリーにはこう書かれていた。

家に帰りたいよ 太郎君に会いたいよ!!

 とはいえ、完治していない状態での退院はとても不安だった。でも、母の入院生活のストレスはもう限界だった。
 太郎くんもそうだった。私が病院から帰ってくると、スーパーの袋を覗くとすぐに「夜遊び行こう!」と訴えていた。夜遊び=母の捜索だ。この頃から、その時間が長くなっていた。両隣の玄関前に佇むだけでなく、広範囲になっていた。100メートル先の交差点、200メートル先の学校まで……、太郎くんの捜索は日を追うごとに慎重さと徹底さが増していた。

 ついに母の退院日が決まった。一週間後の12月11日だ。

「母が家に帰ってくるなら、リビングでも寝れるようにしないとね」

 父と私で相談した。介護ベッドを置こうか? それは大袈裟じゃない? すぐにいつもで寝れるようにソファベットがいいんじゃない? 

「うん、ソファベッドにしよう!」

 私は、その日からパソコンでソファベッドを検索した。

 と、同時に、母がため込んだソファ後ろの本を何とかしないと……はあ、困った。

これは氷山の一角。この下にもとてつもない量が・・・

 母の退院まで時間がない。母には全部捨てていいと承諾を得ていた。手っ取り早く処分したい。捨てるよりは宅配買取が手取り早かった。値段もどうでもいい、段ボールに詰めた本をすぐに回収に来てくれば。

 すぐに作業に取り掛かった。

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