#19 母と太郎くんだけの日 2020.12.16

　今日は母が退院してから初めての出社だった。
　コロナ禍前のタイムスケジュールで過ごすわが家となった。

　太郎くんは久しぶりに１時間ほど早い起床時間となったが、カットで疲れているのかベッドで寝たままだった。カットの翌日はいつもこんな感じだ。

　まだまだ母によそよそしい太郎くん。
　でも、まあ大丈夫だろう。
　
　私は、昨日故障した在宅用ノートパソコンを持って会社へ行った。
　午前中に新しいP Cと交換を終え、無事に手続きを終えた。これで明日からも在宅ワークができる。よかった。

　お昼休み、私は母に電話した。

「太郎くん、朝ご飯食べないの。疲れちゃったのかな。そして、私のことチラチラ見て、寝ればいいのにずっと気にしてて。お父さんも仕事で疲れて、今日は太郎くんと一緒に寝てくれないの」

「やっぱり初めてのトリマーさんで疲れてしまったのかな。おやつ食べたら、食欲も戻ってご飯食べ始めるよ」

　そうだと思っていた。
　そして夕方４時。父と太郎くんの夕食も終え、散歩も終えた頃だ。母にラインした。

　これは早く帰らないと！

　私は定時に上がり、家へと急いだ。
　太郎くんが小さくうずくまっていた。

　詳しく母から話を聞くと、このライン後に、３回吐いて、家の中にうんちをしてしまったという。
　それは健康な便で異常はなかったというけど、家の中にしてしまうなんて……。
　小さい頃に１、２度あったくらいしか記憶にない。

　いや、でも大丈夫！　私がご飯食べるときには何かしら食べるに決まってる！
　だが、その期待も虚しく終わった。

　時計をみた。病院に連れていこうか。しかし、この日は休診日だった。だから昨日予約入れたのだから。
　ならば、前に行っていた病院に連れていこうか。だがすでに診察時間が終わっていた。
　このとき、救急でお願いします、とか、どこか別の病院に駆けつけていたら。
　また後悔してしまう。

　この夜のメモ、

夜、太郎くんにお母さんの入院のこと、私が会社に行ってしまったことを話した。わかったかな？　母とのストレスを抱えたままカットさせてごめんね。今日朝から会社に行ってごめんね。朝ご飯ちゃんと食べさせてから行くべきだった。父に、母と太郎くんだけにしないで、そばにいてあげてと、強くお願いするべきだった。
震えている。歩くのもつらそう。明日は元気になって！！
2020.12.16 太郎くんの闘病日記より　

　この数時間後、悍しいことが起きる。