昨晩と同じ、深夜1時。
太郎くんがそわそわし始めた。この日も私は心配で寝れなかった。太郎くんの変化に敏感になっていた。
太郎くんは、もよおしてきたのだろう。私は、昨日と同じものを吐くんじゃないかと怯えていた。そんな私に太郎くんは訴える。私は「そこにしていいよ」と言って、ペットシートを敷いた。でも、しない。ドアに向かい、「外に連れて行って」と太郎くんは訴えた。
私は上着を羽織り、太郎くんを包み込んで近くの公園に連れて行った。そこは家から100メートルくらいだが、こんな時にはかなり遠く感じる。わが家には庭がない。こんなときこそ庭があったらどんなに楽だろう。
太郎くんのトイレ事情について話しておこう。
生後2ヶ月で大神家の長男となった太郎くんは、すでにペットショップでマットにすることを覚えていた。だから、しつけすることといえば、「家の中で、いつでもおしっこをするようにする」ことだった。2代目太郎くんが家の中で一切トイレをしない大変さを知っていたので、この太郎くんは絶対に家の中にするよう躾るぞと決めていた。しかし、各種ワクチンも済ませ散歩も自由になった頃には、外での開放感に魅了されたのか、一切家の中でしなくなった。
それ以降、クッシング症候群がひどい一時期は我慢できずにマットですることもあったが、それもいつしか再びなくなってしまった。結局、2代目太郎くんと同じになってしまった。
なので、どんなに具合が悪くても、外に連れていかなければならい。それが、深夜だろうが台風だろうが。
そして最期の日もだった。
この夜のことに話を戻そう。
深夜1時過ぎ、おしっこをしたら落ち着いたようだった。
太郎くんは再び自分のベッドでうずくまった。
やがて朝が来て、朝ご飯の時間を迎えた。
ご飯を見ることもなかった。
また病院に連れて行った。
熱を測ると、39.5度あった。太郎くんの平熱は37度後半だ。明かに熱があった。
この日は血液検査、皮下点滴をした。
血液検査は病院内ですぐにわかった。

C R Pが7もある。希釈してこの数字で、実際は測定不能だと先生から説明があった。
ここでもC R P……
母の次は、太郎くんがこのアルファベットに悩まされるなんて! やるせなかった。
そして、肝臓、腎臓の数値も異常値だった。
もしや、母と同じ病気? 菌?
(母は結局原因不明のまま現在に至ります。今でもこの真相は闇の中……)
そう思うしかないほどのタイミング。
この日は絶望しかなかった。おやつも食べなかったのだ。
皮下点滴の栄養が、抗生物質が、太郎くんを救ってくれることを祈るしかなかった。それが効いて、夕飯は食べて。お願い!
その願いも虚しく終わった。
何も食べない……
父も母も顔に表情がなくなった。
私は祈りを込め、自分を落ち着かせるために、ペンを握った。
- #88 自転車に乗った! ボールで遊んだ日
- #87 歩いた! 食べた! セカンドオピニオン通院の日
- #86 雪が降り、ギーとミルクを飲んだ日
- #85 シリンジ給餌を5回にした日
- #84 歩行補助ハーネスで歩けた日

コメント