#3 ぜったいに厄年なんだ!

 梅雨が明けたら、暑い夏がやってきた。今度は暑くて歩けない。
 初めて熱中症にもなった。早朝だからと油断していた。家に着いた途端、「ぎゃーん」と声を出して、ぐったりしていたらしい。すぐにお父さんがぼくの身体に冷たい水をいっぱいかけてくれた。そしたらいつも通りに戻った。あー、よかった。

 そんな夏も乗り越えたから、秋風に吹かれながらの散歩が楽しみだった。

 なのに、今度は目が見えにくくなってきた。どこかにぶつけたのかな。お姉ちゃんが、「太郎くん、おできできてるよ」だって。ものもらいってやつかな?
 おまけに最近、お尻からとっても臭い汁が出てくるんだ。お姉ちゃんがペッタンってガーゼを貼ってくれた。それがいつもの日課に加わった。肛門腺も絞ってるのにどうしてだろう。

 それより何よりも、またおしっこが出なくなった! 

 先生からは手術を勧められた。仕方ない。ぼくは頑張った。全身麻酔に耐えられるか血液検査をしたら、問題なかった。むしろ、去年の血液検査より数値はよかった。健康体だって! だから9月25日の連休に手術することになった。つらいけど頑張ろう。膀胱内の石を取る手術をして、5日ほど入院した。コロナ禍だったけど、お父さんとお姉ちゃんが、ほぼ毎日お見舞いに来てくれた。

 退院した時は、ぼくのお気に入りのスポットでおしっこをしたら、きれいなアーチを描いてくれた。やった! 思わず尻尾を振り回してしまった。うれしかった。2日後には、おしっこに血が混じることもなく、手術した痕の抜糸も無事に終わった頃には、いつも通り散歩も楽しめるようになっていた。

ぼくは元気だった。あの日までは。

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