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寝る前の震え……
これが予兆だった。
退院してから夜は熟睡していた太郎くん。しかし、この日の深夜2時半頃、そわそわし始めた。悪夢が蘇る。
まず太郎くんは水を飲んだ。そして吐き気を一生懸命まぎらわせているようだった。私は、吐いていいよと背中をさすった。吐いてしまえば楽だろうに。でも、太郎くんは吐くことが悪いことだと思っているようで、必死で耐えている。(それを紛らわすように水を飲むことは旅立つ直前まで続けていた。)
太郎くんなりのプライドというかポリシーというか、自分なりのコントロール方法だったと思う。その後もしばらくうろうろして、やっと腰を下ろしたと思いきや今度は顔をあげて遠くを見ている。落ち着かない。
私はトイレに行ったらスッキリするかもしれないと思い、近くの公園まで抱っこして行った。
そこでおしっこをした。便はなかった。それから、いつでも外に行けるように一階の部屋で寝ることにした。太郎くんは、4時半くらいにやっと眠りについた。それから1時間経った頃、私はそっと太郎くんを抱きかかえ部屋に戻った。
それから私も少し寝た気がする。9時頃に気づくと、太郎くんはまた顔をあげては気持ち悪そうにしている。トイレに行きたいのかもしれない。今度は仕事から帰ってきた父が太郎くんを外に連れて行ったが便はしない。
そして、朝ごはん。ミニトマト3個とトッピングした牛肉だけは食べた。
この日初めて、腎臓病の療法食を試してみた。ヒルズ のk/dシチュー缶。人間から見て非常食かのようにお肉もお野菜もゴロゴロ。これが療法食なんて信じられないくらいだ。当時品薄で定価より高かったが、これでがっついてくれれば安いもんだ。(今も品切れで手に入りにくいようです…)
だけど、太郎くんはニオイを嗅ぐだけ。ぷいっとしてしまう。ダメだ。太郎くんはカリカリごはん以外は受け入れなかった。これはこの先も同じだった。
でもその心配も無用。
その後、おやつは食べて、夕方のごはんは完食! 嬉しかった。

夕方病院へ。先生に夜中に吐き気がひどかったことを告げた。皮下点滴の中に吐き止めも調合された。
どうか効きますように。
今夜はぐっすり寝れますように。
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