第一章 #23 太郎くんが入院した日 2020.12.19 ① 朝から家族会議になった。 この日もお昼頃に診察の予約をしていた。 太郎くんが全く良くならない。今朝もごはんを口にしなかったからだ。 家族全員思っていたことを改めて口にした。 「トリミングで院内感染したんじゃないの?」 母の入院という家... 2021.11.05 第一章
第一章 #19 母と太郎くんだけの日 2020.12.16 今日は母が退院してから初めての出社だった。 コロナ禍前のタイムスケジュールで過ごすわが家となった。 太郎くんは久しぶりに1時間ほど早い起床時間となったが、カットで疲れているのかベッドで寝たままだった。カットの翌日はいつもこんな感じだ。 ... 2021.10.30 第一章
序章 #14 な、なんだ!? みんな変だよ! な、なんだ!? なにしてるんだよ!!!??? 朝起きてリビングへ来たら、仕事から帰って来たお父たんが、ダンボールにお母たんの本を箱づめしていたんだ。 それを見て、お姉ちゃんが、 「余計なことしないでよ!」 バトルが始まった。 「勝手に... 2021.10.25 序章
序章 #13 母の退院が決まった 2020年12月になった。母が入院して3週間経った。 あらゆる検査の結果、主治医から「グラム陰性桿菌敗血症」との診断が下された。母は肝膿瘍により敗血症を引き起こし、高熱によるショック状態で救急搬送された。しかし、その原因となる菌を特定する... 2021.10.23 序章
序章 #12 ぼくの大好きな場所 今日は、ぼくの大好きな場所を教えるよ。 それは、一階リビングにある、長いソファーの左側なんだ! このソファの後ろには、お母たんの本がいっぱい! ここにバスタオルや毛布が敷かれたぼくのベッドが置かれる。そこに横たわり、ぼくは、ひじかけにア... 2021.10.22 序章
序章 #11 お姉ちゃんなんか大っ嫌い! お母たん早く帰ってきて! 最近のお姉ちゃん、嫌いだ! いや、大っ嫌いだ! ずっと忙しくしてるし、ぼくと一緒にゴロゴロしてくれない。ぼくが何か言うと、 「ちょっと待って!」 そればっか。やっと、ぼくのそばに来てくれたと思ったら、大っ嫌いな耳掃除するんだ! あーあ... 2021.10.21 序章
序章 #10 ちょっと待って! 「クーン、クーン」「ちょっと待って!」 ほら始まった。太郎くんはおしゃべりだ。トリマーさんからも「太郎くんはお話上手だね」と可愛がられ(うるさいってことだった?)、いつも人気者だった。 太郎くんがこれまでお留守番したことは5本の指で足りる... 2021.10.20 序章
序章 #9 濃縮ジュースの嫌な予感 母の容体が安定してからは、心のゆとりもできた。 太郎くんの免疫低下のサインも見逃すほど、緩んでいた。 「太郎くん、こっち見て! お母さんにメッセージ言って」とねだったり、「クーン、クーン、クーン」と甘えた鼻声を言わせたり、無理矢理おもちゃの... 2021.10.19 序章
序章 #8 サインは出ていた 母の入院4日め。 母の容態が最悪だった。 洗濯物を預けた看護師さんから容体を伺い、ガラス越しに見た母の顔が浮腫んでおり、顔色は土色。ゾッとした。その帰りは泣きながらペダルを漕いだ。 太郎くんは、そんな私の様子を敏感に捉えていた。 それ... 2021.10.18 序章
序章 #7 太郎くんの追加されたルーティーン 太郎くんの基本的なルーティーンは守った。 ただ、私が母の病院に行く時間の夕方6時半〜8時に、太郎くんは1階のリビングでお留守番(厳密には2階で父は寝ているのだが)することになった。 幸い母の病院は自転車で15分という近い場所だった。それに... 2021.10.16 序章