序章#9 濃縮ジュースの嫌な予感 母の容体が安定してからは、心のゆとりもできた。 太郎くんの免疫低下のサインも見逃すほど、緩んでいた。 「太郎くん、こっち見て! お母さんにメッセージ言って」とねだったり、「クーン、クーン、クーン」と甘えた鼻声を言わせたり、無理矢理... 2021.10.19序章
序章#8 サインは出ていた 母の入院4日め。 母の容態が最悪だった。 洗濯物を預けた看護師さんから容体を伺い、ガラス越しに見た母の顔が浮腫んでおり、顔色は土色。ゾッとした。その帰りは泣きながらペダルを漕いだ。 太郎くんは、そんな私の様子を敏感に捉え... 2021.10.18序章