#45 太郎くんと約束をした日 2021.1.4 ①

お散歩の時はしっぽも上がってたね。

 この夜から、1階のリビングで寝ることにした。

 寝る部屋が変わっても、魔の時間は変わらなかった。

 しかし、リビングだと台所も玄関もすぐそば。太郎くんを外に連れて行くのでも階段を降りなくて済む。結局、この日から最期の日まで私の部屋で夜を過ごすことはなかったのだけれど。

 昨晩は吐いたので、今夜はドキドキだった。やはり2時半頃に気持ち悪そうにしていたが、いつものように水を飲むことで落ち着かせていた。

 水はいっぱい飲む。いっぱい飲むだけに0カロリーがやるせなかった。水にミルクを入れたらどうかと試したけれど、太郎くんはぷいっとしてしまった。これでは、水まで飲まなくなってしまう。恐怖を感じ、これっきりにした。

 私は睡眠不足の限界を超えていた。それでも今までは自分のベッドだったから記憶がないところで寝ていた時間もあったのだと思う。それがリビングに寝ることにした。フローリングに布団を敷くだけという、固い寝床のため、寝れない以上に腰も痛くなっていた。疲れに痛さが加わる。

 限界だった。朝が来て、父に太郎くんの散歩も託した。その数分間、部屋のマイベッドで寝た。

 太郎くんが帰ってきた。太郎くんの朝ごはんを見届けないと寝るにも寝れない。私は起きて、リビングへ行った。

 この日も太郎くんは朝ごはんを食べない。なら、カステラだ!
 差し出したら、バク!

 カステラ様様、だった。

 私は食べたことにほっとして、部屋で仮眠をとった。2時間弱だったけれど回復した。

 そして太郎くんと向き合った。おやつをあげたけど、おやつすらも拒否……

 強制給餌をすることにした。今日は本格的にやる!と。殺気立っていた。(※強制給餌は殺気立った瞬間失敗です。すぐに逃げられてしまいます。)

 私と母で心を鬼にして太郎くんを捕まえ、口を無理に開けさせた。ものすごい力だった。具合悪いとはいえ、こんなに力が残っていたことに驚いたと同時に、太郎くんにとって大きな負担になることを痛感した。

 断念。
(強制給餌をトライした方みんなが経験する壁)

 私は、心から太郎くんにお願いした。私の真剣な目と太郎くんの大きな目が一瞬たりともぶれることがなく、それは閉じることもなく、私の強い気持ちが太郎くんの大きな目に鋭く突き刺したのを自分でも感じた。

「わかった! お姉ちゃんは、もう無理に太郎くんにやらない。だから、太郎くんは自分で必要なもの、食べるものは、ちゃんと食べるんだよ。お願いだよ! 約束だよ! お姉ちゃんは太郎くんを信じるから!」

 私は、この日で強制給餌を一旦やめた。それは、太郎くんとの約束だったから。

 でも、結果的にここで強制給餌を断念したことは失敗だった。この時に本気で取り組んでいれば、助かったかもしれない。

 この3週間後に本気で強制給餌をすることになったから。

 この日から動物病院は通常診察となった。予約は午後の診察開始時間に取っていた。

 その前に父が太郎くんを公園に連れて行った。私も追いかけて行った。

 「あ! お姉ちゃん」って顔を見上げてくれた。

 この日は天気も良くて、トボトボ歩きではあったけど、しっぽも上がっていたし、後ろ右足はこんなに高くあげておしっこできていたんだね!

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