#86 雪が降り、ギーとミルクを飲んだ日

比較的夜はよく寝ていた。

散歩から帰り、朝はカステラを一口! やったー!!
自分から食べた。でも食べているところを見せないように、まるで「だるまさんが転んだ」のように、見ていない時にパクッと食べていた。

なんで? 

とはいえ、カロリーが足りないのでシリンジ給餌をしなくてはならない。この日はギーを取り入れてみた。
ギーとは、牛乳(または水牛やヤギの乳)から作られるバターを加熱し、水分と不純物を取り除いた乳脂肪分です。 インドでは、伝統医療アーユルヴェーダに使われ、「奇跡のオイル」「黄金の秘薬」とも呼ばれているものだ。

食欲不振の犬に取り入れて、奇跡的回復を遂げたという記事を見つけ、試すことにした。それにシーズーはインドに近いチベットの原産……きっと遺伝子レベルで何か奇跡を起こしてくれるのでは、と根拠もないただただ都合のいいように考えていた。藁をもすがるとはこういうことをいう。

午後になると雪が降ってきた。寒い。
太郎くんとソリをしたのは何年前のことだろう。一緒に楽しもうとソリも買っていたけど、一回も使わず終い…… こんなことになるなんて。

積もりそうな雪を見ながら思いに耽っていた。

夜は、自発的にミルクを飲んだ! 
奇跡は起きた。一口も食べないどころか立てなかった太郎くんが回復してきている。

嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

ギー作戦。どうかよい効果がありますように。

太郎くんはシリンジご飯を恐怖に思っている。私だってやりたくないんだよ……でも食べないと悪くなる。貧血も良くならない。

太郎くんに延命治療をしているわけではないのだ。ただ、食べればまだやりたいことできるのだから。

イライラしてしまうけど焦らずに。

2回目のご飯の時に焦ってしまって、誤嚥のように気管に入ってしまった。

気をつけないと! 
危険なことをしてるという自覚を持って!

疲れてしまうし、イライラしてしまうけど頑張る。
今日はカステラ、ミルクを自発的に飲んでくれたのだから!

2021.1.28 太郎くんの闘病日記より

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